(原文はB5判 縦書き 3段組み)

 

                東 京 凌 霜 謠 会 消 息

 

  昭和二十九年三月名乗りを上げて後、缺かさず毎月一回催会を続けて居る。

 今では登録会員四〇を超えた。尤も流儀を問わず凌霜会員で、能謡に由縁あり

 と聞けば世話人の方で登録して仕舞うし、奥様子供さんの御嗜みありと聞けば

 是も当然会員にして仕舞うので、謡人口は益々増加する、会員全部掲載願うの

 は本部に御気の毒だから、今日迄出席のあった方だけ左に。(頭書は卒業回数)

    2 佐々木義彦夫人     4 江波戸鉄太郎 

    5  山中淸三郎         6 伊達泰治郎

    6 竹内鎨之助       6 竹内鎨之助夫人

    6 日塔 治郎       6 久々江淸三郎

    6 音  申吉       7 三木六郎夫人

    9 臼井 経倫       9 井上貴与記

  10 西川 淸       10 高田 透

     10 高田 透夫人     10 松川 武一

      11 松川武一夫人     11 中島松太郎

     12 三田村 明      12 小西幸之助

  12 松本幹一郎      12 松本幹一郎夫人

     16 田中 梅作      17 森川 瑛

  25 久住 昌男     学 1  藤田 寿雄

             〇

     月例会は芝白金の日毛寮を借りて土曜の午後一杯跳ねたり呻ったり、演後手軽

    一杯やる、何事に限らず凌霜会員というのはどうしてこんなに仲が好いのだろう

    出席の奥様方から讃められる。

     年二回位別会を催す、去年の二月は松本君の配慮で明治鑛業熱海寮に一泊、高砂、

 弱法師、熊野、葵上、隅田川、蟬丸、藤戸の番謡、花筐、笠之段の一調があった、

 七月には葉山の松本君別邸で八島、三輪、実盛、松風、班女、天鼓、安達原、小督

 の番謡と囃子八島、一調三井寺に山中君の十番仕舞など。

              〇

  本年二月は臼井君の斡旋で三菱養和会の熱海小嵐荘に一泊、演物は

 〇素謡、

   忠度(シテ 臼井  ワキ 森川)  東北(シテ 森川  ワキ 沢木)  百万(シテ 沢木  ワキ 臼井) 

   八島(シテ 臼井  ツレ 伊達  ワキ 竹内)  通小町(シテ 内  ツレ 松川夫人  ワキ)

   大原御幸(シテ 音   伊達  内侍 三木夫人  法皇 江波戸) 

   蟬丸(シテ 松本  ツレ 藤田  ワキ 西川)  遊行柳(シテ 西川  ワキ 高田) 

   千手(シテ 竹内夫人 ツレ 松川夫人  ワキ 三木夫人)  藤戸(シテ 江波戸  ワキ 伊達)

   山姥(シテ 伊達  ツレ 竹内夫人  ワキ )  

            俊寛(シテ 高田  康頼 三木夫人  成経 竹内夫人  ワキ 松川)

 〇番囃子 弱法師(シテ 田中  ワキ 音  大鼓 西川   小鼓 沢木)

 〇仕 舞 桜川クセ(藤田) 同網ノ段(竹内夫人) 三輪(江波戸)

 〇一 調 景清(音  小鼓 沢木)

 

  外に森川夫人松本夫人が夫君の応援に出席、西川君の高安流大鼓、高田夫人の幸流

 小鼓が常連である。尚玉伊君の葛野流大鼓、吉谷君の一噌流笛は不幸にして未だ参会

 の機会が無い、

                       〇

   京浜在京の会員で此道に志ある方は流儀を問わず世話人迄御申出下さい。又遠隔の

 方で御上京の機に啼合わうと御考えの際は前広に御申付下されば御相手を誘うて置き

 ます。

                           世話人 (六回) 音  生

 

     (転記注)  2月別会の番組中の「お役」の部分は読みやすいように編集しました