(原文はB5判 縦書き3段組み)
恒例の謠会を六月二十五日(日)、松泉館舞台(阪急六甲北、若林邸内)で開いた。参加者は
二十名で、喜多流の藤田寿雄氏(昭7学)や若林家当主の若林邦昌氏、紅一点の西公子さん(昭13、
故西直彦氏夫人)の参加があり、特筆すべきこととして、今回初参加の松田幸次郎氏(昭19)と
林哲夫氏(昭32)を迎えて活気に溢れた。
他方で多年当会の熱心なメンバーであった神大名誉教授福光家慶氏(昭15)が、六月十三日に
他界され、その力のこもった謡を聴くことが出来なくなったことは寂しい限りである。私は番組
中の卒都婆小町のキリを故教授への手向けの気持ちで謡わせていただいた。
連日の豪雨もこの日は朝から晴れで、静かな庭園に囲まれた舞台で、予定の時間内に素謡十曲、
独吟一曲、仕舞七曲をこなし、終了後直ちに懇親会に移った。若林家のご芳志の生酒に陶然となり、
和やかな空気の中で、同窓・同好の誼みを深め、次回を約して散会した。
出席者および番組はつぎの通りである。今回も予め地頭を定めて充実をはかったが、番組から
地頭名は省いておく。
〇出席者(敬称略)
井口 宗敏(大11) 前田 英一(大14) 香川 義行(昭 3)
谷本 繁(昭 4) 伴 健次郎(昭 4) 吉岡 篤三(昭 5)
生田 八郎(昭 8) 西尾 雄一(昭11) 伊藤 欣二(昭17)
前田 一二(昭18) 数井 卓男(昭18) 松田幸次郎(昭19)
里井三千雄(昭31) 林 哲夫(昭32) 段野 治雄(昭40)
〇番 組
素 謠
段野 治雄
難 波 伊藤 欣二 前田 一二
忠 度 伴 健次郎 香川 義行
師長 生田 八郎
ツレ 西 公子
玄 象 前田 一二 段野 治雄
トモ 松田幸次郎
ツレ 林 哲夫
景 清 谷本 繁 西尾 雄一
独 吟
鐘ノ段 藤田 寿雄(喜多流)
仕 舞
箙 キリ 香川 義行
羽 衣キリ 谷本 繁
笹ノ段 西尾 雄一
山 姥 藤田 寿雄(喜多流)
若林 邦昌
段野 治雄
猩 々 林 哲夫 数井 卓男
(藤井茂 記)
(転写注) 番組中の「卒都婆小町」のシテは冒頭の文面から藤井茂教授ではないかと思われますが、
確認ができないため「前田英一」さんのまま、転写しました。