(原文はB5判 縦書き3段組み)

 

 

           第八回  凌霜関西謡曲大

 

                   昭和四十二年六月四日

 

 

 

                    神戸大学、学生会館

 

 

 

 

 

 

 

番    組

 

 

中川 慎吾 

 藤尾 豊一

  玄  象       井口 宗敏     田中 六郎

  実  盛                           前田 英一      大森 三郎

                        豊島 又衛

  杜  若      野田 和則      湯朝 憲之

 

         仕 舞

      嵐  山      清見 嘉朝

      敦  盛      中川 慎吾

      松  風      向浜 幸雄

      鞍馬天狗      高橋 雅晴

   

 桜  川      青木 又雄     豊島 又衛

                        大森 三郎

          連 吟

   葵  上      風韻会員

 

        仕 舞

     田  村      大森 三郎

     砧         吉岡 篤三

     弱法師       栗岡 治作

 

 藤 戸       内海 実      福光 家慶

                        向浜 幸雄

    班 女        吉岡 篤三       大森 三郎

                        藤尾 豊一

    天 鼓         藤井 茂       荒川 祐吉

 

        仕 舞

     屋 島      辻  晧一

     玉 鬘      野田 和則

     放下僧      湯朝 憲之

 

                 田中耕一郎

           大塚 重典

 土蜘蛛       武内 安雄     根岸 義明

                        立川 高士

                       芥川美和子

 当 麻       栗岡 治作     福光 家慶

    

       祝  言

  

  本会の発足以来新会員も順次増加し愈々盛会になって来た事は同慶の至りであります。

   今回は母校の御好意により新装なる学生会館に於いて開催し、教授、凌霜会員、在校生

 の同好者が三位一体となって初夏の一日を愉快に過ごす事が出来、全く命の洗濯でした。

   懇親会の席上では青木大先輩を中心に乾杯し、各自自己紹介を兼ね感想やら有益なる意

 見の交換があり、栗岡先輩の曰く「私は母校を愛するが故に何事のつけても神戸の事がい

 つまでも気にかかる。此上共一層しっかりやろうではないか」と。此の気持こそ葺合村塾

 以来の伝統的精神であり、吾等の胸からはなれぬものであります。藤井教授よりは学生会

 館の管理運営がスムースに理想的に行なわれている事や、又母校の近況を詳しく承り、一

 同すっかり昔に若返えり、商神や大旆を斉唱しお互いの健康を祝し万歳を三唱して、百万

 弗の夜景を愛でつつ六甲台を下りました。今後新会員が続々と参加されん事を切望致します。

  いつも御世話役の井口、藤尾両幹事には感謝の外ありません。私は昭和二年卒ですが筒

 井ヶ丘在学四年間の事を申しますと、校舎の西門を出ると立派な学生会館があって、此処

 がいろいろの稽古場でした。謡曲は観世流の鞍馬会があり其名の如く天狗揃いでした。其

 他宝生流喜多流の会があり時々合同でウナロー会を開催しました。

   尺八は都山流琴古流の会があり毎年春には謡曲と尺八と合同で邦楽大会を大講堂で開催

 しました。市内名士の令夫人達が囃子方に賛助出演あり舞囃子等もいたしました。尺八の

 方はお琴の出演合奏がありなかなかの熱演でした。番組が出来ると市内各女学校附近の電

 柱に貼られたので会場もにぎやかで紅紅紅の満員でした。当時としては全く異彩を放った

 ものでした。

  今回の記事は御指名により当日の事だけでなく昔の事も併記する様にとのことでしたの

 で右認めました。           

                                 (内海実記