第 二 回 凌 霜 謠 曲 會

 

 

 

              昭和三年一月二十二日

 

 

 

於日本生命倶樂部 伊 藤 則 忠

 

 

 

 凌霜謠曲會總會は昨年十一月十三日西長堀の三菱倶樂部で開催しましたことは既に凌霜

 

第二十二號に發表しました通りです。

  

 續いて第二回は第二十二號及第二十三號に發表致して置きました如く、一月二十二日に

 

高麗橋二丁目の日本生命倶樂部で開催いたしました。

  

 大阪方面のみならず、神戸方面よりも多数御出席下さることを豫期して居ましたが、皆

 

さん御都合が悪くて御出席が無かったのは誠に残念に存じます。尚四五名出席の通知があ

 

りながら故障の爲め當日不参された方もありましたが、結局下記十三名の御出席があり、

 

次第に會員の増加することは御同慶の至りです。尚當日同好者も大分判りましたから次回

 

からはもっと増加することゝ樂しんで居ります。

 

   當日の出席者(敬偁を略す)

      長谷川輝世鷙( 2)  吉川  貢 ( 9)    大平 千吉(11)  大久保銀太郎(11)

      水澤  驥 (11)      柘植 宗俊 (11)   伊藤 則忠(11)  井上 和吉 (12) 

      神戸 一郎 (14)     田中 捨次郎(15)   栗岡 治作(15)     吉田 英三郎(18)

      小川 富士夫(21)

   以上の通り、大天狗の寄り合ひで仲々愉快な會です。例により役は公平に抽籤で決定致し

 ました。

     何れも仲々御熱心な方ばかりで、精錬された謡ひ振りで、尚全々打ちとけた會ですから他

會の如く氣兼ねなしで愉快です。

     當日の番組及役割は左の通りです。

       東北  シテ 田中捨次郎            ワキ 水澤 驥

    田村  シテ 神戸 一郎            ワキ 吉田英三郎

    鉢木  シテ 栗岡 治作  ツレ 伊藤 則忠  ワキ 井上 和吉

    二人静 シテ 大久保銀次郎 ツレ 吉川 貢   ワキ 小川富士夫

    八島  シテ 大平 千吉  ツレ 吉田英三郎  ワキ 水澤 驥

    羽衣  シテ 長谷川輝世鷙           ワキ 大久保銀次郎

    放下僧 シテ 井上 和吉  ツレ 伊藤 則忠  ワキ 吉川 貢

    猩々  シテ 田中捨次郎            ワキ 水澤 驥

  

  以上の如く和氣藹々たる内に謠ひ納めたるは将に八時半。

  次回は左記の通り開催の豫定です。

    時 日  昭和三年三月十八日(第三日曜日)午後二時半始

    場 所  三 菱 倶 樂 部

               大阪市西區西長堀五丁目一一

               市電玉造橋下車、玉造橋南詰東入

       番 組  蘆刈、盛久、熊野、百万、櫻川、葵上、鞍馬天狗

  

  同好會員は萬障繰合せて奮って出席して下さい。初歩の方も、老練な方も是非御越し下さい。

 

 そしてお互の爲め成可く時間を勵行致しませう。

   

    幹 事  長谷川輝世鷙( 2)    時安 一郎  ( 5)    吉川 貢 ( 9) 

 

  大平 千吉 (11)    大久保銀太郎(11)  伊藤 則忠(11)

 

  井上 和吉  (12)   栗岡 治作  (15)   吉田英三郎(18)