(原文はB5判 縦書き3段組)

                                                               高田透氏追善謠会

 

 四月八日西大久保出光寮に於いて催した。

  番組

   杜若      シテ安村      ワキ三田

         大納言  矢野

         阿波内侍 中村

         法皇   小西

   大原御幸    シテ江波戸     ワキ大橋 

                        ワキツレ西村

         ツレ近藤

   通小町     シテ藤井      ワキ伴

   藤戸      シテ日塔      ワキ松山

     独吟   鵜之段   松川

          笹之段   玉伊

          朝長    木阪

          江口    丸山

          天鼓    今井

          笠之段   西村

     囃子   玉之段        大鼓 高田尚子

                     小鼓 沢木   

                     笛  玉伊美津子

     仕舞   屋島  山家    木阪

     一調   鐘之段 浅野充知恵 田中

     舞囃子  羽衣  山家     大鼓 伊沢

                     小鼓 大島

                     笛  玉伊美津子

                     大鼓 今井

          砧   高田尚子   大鼓 大崎

                     小鼓 伊沢

                     笛  玉伊美津子

 

 此の日は高田氏逝いて丁度百日目にあたる。会する者、彼の生前謡を倶に楽しんだ同人

二十九名、東京の凌霜うたひ会としては故音申吉氏の追善謠会と併び、稀に見る盛会であ

ったが、如何に皆が高田氏を懐しんで居たかが偲ばれる。同人の捧げる精一杯の手向の曲

に床の間の故人の遺影も思いなしか嬉しげにほほ笑みかける様であった。

 終了後一同庭で記念撮影(技師は三田三郎氏)のあと懇親会に移り、一同暫し故人の追

憶談に時の移るのを忘れたが、誠に有意義な一日であったと同時に、故人を憶う高田未亡

人の切々たる情に更めて心を打たるる想いであった。

 

 参会者

 矢野政、江波戸鉄太郎、近藤得三、浅野充知恵、日塔治郎、中村道子、臼井経倫、藤井喜代治、

 松川武一、三田三郎、西川清、高田尚子、小西幸之助、西村二郎、今井清、田中梅作、木阪規

 矩三、大橋義勝、玉伊辰良、同美津子、丸山語郎、三木静雄、安村慶次郎、伴健次郎、松山緑、

 山家猛、沢木正太郎、伊沢師、大島師。

                              (西村記)